理事長挨拶

ごあいさつ

 周産期・新生児医療は母として子としてのスタートを、健康で幸せな未来に向けて切ってもらうための医療と言えます。日本周産期新生児医学会は周産期・新生児医療の進歩のために、その医療の根底となる周産期医学、新生児医学を発展させることを目的としております。本学会では妊婦と胎児を担当する産科医また生まれてきた赤ちゃんを担当する新生児科医から始まり、母体や新生児を担当する多くの診療科(小児科、小児外科、小児の脳神経外科、麻酔科、臨床病理など)の専門家が集まって様々な活動を展開しています。もちろん本学会の活動の基本は雑誌の発行や学術集会の開催を通じて医学上の新たな知識を交換し、この領域における各科の横の連携から一層の進歩を目指すものです。

 日本周産期新生児医学会は我が国の周産期・新生児医療の更なる充実を求めて、専門医制度を発足させました。2年前に堀内前理事長が示した学会発展のための5項目の第1である「周産期専門医を世に送り出すこと」は、平成19年には最初の周産期専門医(新生児)が誕生し、平成21年には周産期専門医(母体・胎児)が誕生する予定であることからすでに実行に移されております。これらの専門医はまさに周産期・新生児医療におけるスペシャリストとして、高度のレベルが必要とされる妊産婦や病的新生児の医療に大きく貢献するものと期待しております。さらには平成19年より新生児の蘇生法講習会を開始し現在までに500名以上のかたが受講を修了しております。これは我が国の新生児医療のボトムアップを図る目的で開催されておりますが、多数の参加者を得ており、大きく社会に貢献するものと考えております。平成16年に日本新生児学会と日本周産期学会が合同して日本周産期・新生児医学会が発足して以来4年の歳月が流れました。佐藤 章初代理事長、堀内 勁前理事長が常に念頭においてきた「社会への貢献」は二つの学会の合同の重要な目的であり、それは即ち本学会の重要な目的であります。因みに「社会への貢献」は前述の学会発展のための5項目の第4に相当します。

 我が国の周産期死亡率、新生児死亡率は世界のトップと言っても過言ではありませんが、最近の我が国は、今まで先達が築いてきた世界に冠たる周産期・新生児医療の成果が危機に瀕していると思わざるを得ない状況にあります。最大の問題は産科医療や新生児医療に従事する医師の不足であり、医師不足は周産期医療供給体制の根本を揺るがす問題となっております。

 本学会が会員一人一人のお力によって成立しているのは申し上げるまでもないことですが、今ほど本学会が会員の皆様の力を必要としている時はないと考えています。本学会には、周産期医学、新生児医学の進歩を図ることに加えて、国民に提供する周産期、新生児医療のレベルを維持・向上させていくとの困難な作業が山積しています。理事会は我が国の妊婦や子どもたち、引いては国民全体の幸せのために努力を続けていく所存ですが、会員諸氏におかれましてもこれらの活動に積極的に参加していただきますよう重ねてお願い申し上げます。

 
日本周産期・新生児医学会理事長
名取 道也